BPOとは?注目される背景や対象業務
BPOの定義とアウトソーシングとの違い
「BPO」は「Business Process Outsourcing」の略で、直訳すれば「ビジネスプロセスをアウトソーシング(外部委託)すること」となります。そもそもアウトソーシング自体が「業務の一部を外部に委託すること」を指すため混乱しやすいですが、BPOには「プロセス」という言葉が含まれていることに注目してください。「Process」を日本語に訳すと「一連の手順、工程」となります。業務の一部を委託するアウトソーシングとは違い、BPOは業務に関するすべての手順、工程全体を委託します。
例えばPCの社内ヘルプデスク業務を、それぞれアウトソーシング、BPOした場合を考えてみましょう。
アウトソーシングした場合は、電話やチャットによるPCや周辺機器の簡単な操作案内を受ける業務を外部に委託します。委託によって、これまで社内ヘルプデスクの業務を担っていたIT部門のスタッフは、システム更新など本来の業務に注力することができるようになります。
一方、BPOの場合は、社内ヘルプデスクの運営に加え、PCを始めとするIT資産の管理やFAQデータベースの構築・運用など、ヘルプデスクに関連する業務プロセス全体を委託することになります。委託された側はプロセス全体を俯瞰することができるため、最適化や効率化の提案なども可能となります。
迅速に導入でき、コスト面や省人化などの効果が得やすいアウトソーシングと比較すると、BPOは導入までのハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、BPO導入による業務改善効果は非常に高いと言えます。

BPOが注目される背景:2025年の崖とDX対応
現在、BPOやアウトソーシングが注目される背景には、いわゆる「2025年の崖」問題があります。長年使用し続けたオフィスシステムの中には、仕様や構造がブラックボックス化し、保守・更新が困難となった「レガシーシステム」が存在します。そのようなレガシーシステムの存在によりDX化が妨げられて実現できなかった場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる危険性があるというのが「2025年問題」です。今後予想される労働人口の減少や働き方改革、急激に変化するビジネス環境といった、対応すべき経営課題は山積しています。そこで社内のDX化を成功させ、2025年の崖問題を乗り越える手段として、BPOやアウトソーシングが注目されているのです。
会社の業務は、大きく「コア業務」と「ノンコア業務」の2つに分けられます。「コア業務」とは、利益に直結する中核的な業務を指します。「ノンコア業務」はコア業務とは反対に利益には直結しない業務を指し、間接業務や副業務とも呼ばれます。
BPOの対象となる業務:バックオフィス・フロントオフィス
BPOの対象となるのは主に「ノンコア業務」です。中でもお客さまと直接やり取りすることのない、いわゆる「バックオフィス業務」はBPOに適していると言えます。具体的には、人事、経理、総務などです。また、法務など専門知識を必要とする業務もBPOへの適性が高いと言えます。一方、お客さまと直接やり取りする「フロントオフィス業務」でも、コールセンター業務やマーケティング業務などはBPOの対象となりえます。
BPO導入によるメリットとデメリット
BPO導入によるメリット
ここで、BPOのメリットをいくつか紹介しておきましょう。
まずはコスト削減効果が大きいことがあげられます。特にBPOが長期にわたる場合には、業務プロセスの最適化、効率化が進むため効果はより大きくなります。また、コア業務に注力できるというメリットもあります。
営業部門であれば顧客対応の強化、品質管理部門であればリスク軽減や品質向上に、これまでよりも多くの時間を割くことができます。
さらに郵便物の受け取りや機器のメンテナンスといった、オフィス勤務が必須となるようなバックオフィス業務にBPOを導入することにより、在宅勤務など柔軟な働き方の推進にもつながるでしょう。
ここである自治体がBPOを導入して業務プロセスが大きく改善した例をご紹介いたします。
同自治体ではリモートワークの推進を進めてきましたが、個人情報を多く扱うこともあり、情報漏えいには特段の配慮が必要とされていました。そこで、MDM(Mobile Device Management、モバイル機器管理)にBPOを導入し、IT管理者の運用負担の軽減を達成しました。
MDMはモバイル機器を一元的に管理し、紛失や盗難の発生時には端末をロックしたり、初期化したりする機能を持ちますが、時にはIT管理者自らが深夜や休日などにそうした対応を行う必要があります。
自治体が導入したNTTドコモビジネスの「CLOMO MDM周辺BPOサービス」はMDMの導入支援から運用・問い合わせ対応までを包括的にサポートしています。MDMの運用に関する業務プロセス全体を構造的に代行させることにより、IT管理者が本来の業務に注力できる環境が整備できたわけです。
BPO導入によるデメリット
一方、BPOの導入にはデメリットもあります。特に注意すべきデメリットと課題について紹介しましょう。
まずは業務のブラックボックス化が起こりやすい点があります。業務プロセスをまるごと外部組織に委ねる形となるため、結果として社内での業務プロセスの把握や改善が困難となるリスクがあります。
また、情報漏えいなどのセキュリティリスクもあります。社外秘の情報を社外で処理することとなるため、特に個人情報を扱う業務などにBPOを導入する際には信頼性の高いパートナーを選定する、お互いの責任範囲を明確化した秘密保持契約等を締結する、などの対応が必要となります。
さらに、BPOを委託した組織との連携不足によりコミュニケーション上のギャップが生じ、業務の質やスピードに影響が出る危険性があります。
BPOを導入する際にはこれらのメリット・デメリットを把握した上で、適切に導入・運用することが重要です。
メリット | デメリット |
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BPO導入で業務効率化を加速するための3ステップ
実際にBPOを導入する際には、次の3ステップで進めると良いでしょう。

- 対象業務の洗い出しと整理
まずは社内で業務の棚卸しを実施し、BPOの対象とすべき業務を明確にします。
前半で紹介したように、ノンコア業務のうち「バックオフィス」業務に分類される人事、経理、総務などの業務を中心として、「フロントオフィス業務」のコールセンター業務やマーケティング業務についてもBPO化の可能性を検討すると良いでしょう。 - 目的に合ったサービスの選定
続いて、洗い出した業務に合ったBPOサービスを選択します。経理部門であれば経費精算や請求書処理、売掛金/買掛金管理などを含む経理業務全般、人事部門であれば給与計算や勤怠情報管理、人事情報管理などを含む人事業務全般を提供するBPOサービスの中から、自社の課題に合った適切なサービス、ソリューションを選択します。
NTTドコモビジネスでは前述の「CLOMO MDM周辺BPOサービス」に加え、ノンコア業務のBPOを実現する「デジタルBPO®」、ヘルプデスク業務のBPOを実現する「スーパーヘルプデスク」なども提供していますので、お困りの際にはお気軽にお問い合わせください。 - 導入後の定量評価と最適化
BPOは導入して軌道に乗ってしまえば終了、というものではありません。KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を設定して定期的に効果測定を行い、必要に応じて委託内容の見直しや拡張も考慮しましょう。例えば経理業務であれば、コスト削減率、集計完了までのリードタイム短縮率、誤集計率などを設定すると良いでしょう。
振り返りを行うことで、業務のブラックボックス化、委託組織との連携不足など、BPOのデメリットを軽減することができます。
まとめ
業務効率化、コア業務へのリソース集中を図る手段としてBPOやアウトソーシングはとても効果的です。
まずは今回紹介した3ステップの1つめ、「対象業務の洗い出しと整理」から始めてみてはいかがでしょうか。対象業務を定めた上でBPOの活用可否を検討すれば、スムーズな導入が可能となるでしょう。
また、現在アウトソーシングを導入しておらず、いきなりBPOを導入することに不安がある場合には、最初のスモールステップとして例えば給与計算など定型業務のアウトソーシングを検討してみるのも有効です。
もしBPO、アウトソーシングについてお悩みやご不明点がおありの場合には、ぜひNTTドコモビジネスまでお気軽にご相談ください。