テレワークで発生するネット渋滞の原因は?
テレワーク中にインターネット上のWebサイトにアクセスする、あるいはクラウドサービスを利用するとき、「レスポンスが遅い」、「接続が切れる」といったトラブルが発生することがあります。リモートアクセスを受けるVPN装置のキャパシティオーバーなど理由はいくつかありますが、その一つとして考えられるのがインターネット回線の帯域不足です。
とくに現在では、Microsoft 365やGoogle Workspaceといったクラウドサービスを利用するケースが増えているため、これらをリモートアクセスで接続する各従業員が日常的に利用すれば、インターネット回線はつねに大量のトラフィックで占められます。さらにはインターネット上で提供されるリモート会議を利用する機会も増えていることから、よりトラフィックは増大しているといえるでしょう。

もう一つ、インターネット回線に影響を与えていると考えられるのがOSのアップデートです。アップデート時にダウンロードするファイル容量が大きくなるほど、インターネット回線に帯域が不足し、レスポンスの悪化につながります。そこまで大きくない二車線道路に、四車線でもさばけないクルマ(トラフィック)が殺到する状態をイメージすればわかりやすいかもしれません。
あるいは大型連休明けにPCを立ち上げると、ネットワークが遅く感じた経験はありませんか。この一因はOS、クラウドサービスのアップデートにあります。数百、数千のPCが一斉に連休中に配信されたファイルをダウンロードすることで大量のトラフィックが発生し、ネットワーク全体の通信速度が低下してしまうのです。
ただでさえネットが遅く、PCが使えない状況に追い打ちをかけるのが、読み込みが終わらない大量の迷惑メールです。始業が遅くなるだけではなく、迷惑メールに埋もれた重要なメールを見逃してしまう、うっかりクリックしたばかりにウイルスに感染してしまう最悪の事態も起こりえます。
IPoE方式でインターネット接続回線を強化
ネット渋滞を解消する方法として、昨今注目されているのが「IPoE」(Internet Protocol over Ethernet)と呼ばれる方式を利用したインターネット接続サービスの利用です。
不特定多数の利用者が共用するインターネットは、たとえ大容量の「1Gbpsメニュー」だったとしても帯域が保証されるわけではありません(あくまで理論上の最大値が1Gbpとなっているだけです)。それならば、できる限り混雑しにくい設備構成となっているサービスを選ぶのがセオリーになります。
IPoE方式を使ったインターネット接続サービスは、従来のPPPoE方式より大容量化した設備を利用することで混雑しにくいネットワーク構成になっています。さらに混雑の原因となりやすい個人向けサービスのトラフィックを論理的に分離し、高速で安定したインターネット接続が可能になります。なかにはWindows Update、リモート会議などの帯域を分離して、より快適に利用できるサービスもありますので、目的に応じて比較検討してみるといいでしょう。

IPoE方式を導入する際には価格やスペックのみならず、サービスを提供するパートナーのサポート体制もチェックしておくべきです。もし自社の情報システム担当者が多忙や不在の場合には、すべてまかせられるパートナーを選ぶのも一手でしょう。先に挙げた迷惑メールなどのセキュリティ対策も同時に実施するなら、なおさらのことです。
ただIPoEだけで問題が解決するとは限りません。前述したとおり、リモートアクセス接続に利用するVPN装置の処理能力が不足し、それが原因でネットワーク速度が低下するといったことも十分に考えられます。ネットワーク改善を検討する際は、インターネット回線に加え、それ以外の部分でボトルネックが発生していないかチェックしましょう。