Arcstar IP Voiceとは
Arcstar IP Voiceのサービス概要
Arcstar IP Voiceは、データ回線やインターネット回線を利用して音声通信を行う法人向けの高品質なIP電話サービスです。NTTコミュニケーションズが提供するArcstar Universal OneやOCNといったネットワークサービスと組み合わせて利用することができます。
従来のように専用の電話回線を敷設する必要がなく、既存のネットワーク環境を有効活用し、回線をひとつにまとめることはコストの削減にもつながります。
Arcstar IP Voiceの機能・プラン
また、03や06などから始まる固定電話番号とロケーションフリーな050 IP電話番号を用途に合わせて選択できたり、4つの応答条件から選んで設定できる着信転送機能や代表番号機能、発信者番号通知が標準装備されているなど、お客さまのビジネス形態に応じて多彩な機能がご利用いただけます。
プランも、NTTコミュニケーションズのネットワークサービスをすでにお持ちの方向けの「Arcstar IP Voice」に加え、音声専用回線の新設も含めてゼロから始められる「Arcstar IP Voiceアクセスセット」、さらにコストを抑えて始められる「Arcstar IP Voice アクセスセット ライト」などを用意し、お客さまの多様なニーズに応えています。
大規模コールセンターから中小企業・店舗まで幅広いユーザーが利用中
さまざまなニーズに応えるオプションサービスが豊富なことから、Arcstar IP Voiceは、コールセンターのように大規模な電話発着信の環境を必要とするお客さまだけでなく、企業規模を問わず幅広いお客さまにご利用いただいていると、Arcstar IP Voiceサービスを担当する石田聡穀(コミュニケーション&アプリケーションサービス部)は言います。
「Arcstar IP Voiceの利用にはArcstar Universal OneやOCNといったアクセス回線を引いていただく必要がありますが、回線をワイヤレス化する『Arcstar IP Voice ワイヤレス』を提供開始したことで、起業したばかりで1つか2つの電話番号で十分だというお客さまのご利用も増えています。また、大規模拠点やデータセンターをお持ちの場合は、Arcstar Universal Oneの回線をお客さまのセンター拠点に敷設し、既存の各拠点を結ぶデータ通信ネットワークは変わらずお使いいただきながらIP電話を導入できる『Arcstar IP Voice(Universal One)クラウドプラン』の提供も開始しています。お客さまの環境やニーズによって多彩な導入方法を用意し、さらにフリーダイヤルやナビダイヤルといった着信専用番号のサービスと組み合わせることでお客さまのビジネスにとって最適なコミュニケーション環境をつくる。その基盤となるのが、Arcstar IP Voiceです」(石田)
Arcstar IP Voiceのメリットと新たなラインアップ
Arcstar IP Voiceの課題
変更申込手続きの煩雑さがお客さまの負担に
幅広いお客さまに多彩なサービスを提供するArcstar IP Voiceですが、機能の追加や変更において申込内容のチェックや不備の解消に時間を要していたと、サービス企画を担う福原慎平(コミュニケーション&アプリケーションサービス部)は振り返ります。
「機能の変更を申し込む際には、電話番号の追加や削除、相手先に通知するフリーダイヤル番号を変更するといった簡単な仕様の切り替えであっても、お客さまがエクセルの申込フォーマットに必要事項を記入し、受付を担当するオペレーターとメールで何度もキャッチボールをした上で工事日を決定し、工事を実施するというプロセスが必要でした。そのため、申込を受付してから開通するまで5営業日ほどかかっていました。こうしたお客さまにとっての負担をできるだけ軽くすることが急務でした」(福原)
課題解決の取り組み①:変更申込の受付をWebで自動化
簡易な工事は即時開通
課題解決のため、Arcstar IP Voiceの変更申込をWeb受付に切り替え、電話番号の追加や付加機能の変更など簡易な工事は即時開通できるシステムの構築に向けて動き出しました。そのシステムとは、どのようなものなのか。運用を担当する中井昌輝(NTTコムエンジニアリング)は次のように説明します。
「変更申込のWeb受付には、お客さまがサービスの契約情報や運用情報を一元管理し、設定変更もできる『ビジネスポータル』というサイトを利用します。新たなシステムでは、お客さまの申込内容に応じて、ビジネスポータル上で即時開通できる工事とできない工事にメニューを分け、即時開通できる工事に関してはお客さまの利用状況を管理するIP電話サーバーに直接指示を出して、人手を介さずに工事を完了させます」(中井)
変更申込のWeb受付と、簡易な工事を即時開通させるシステムは、2023年3月に運用がスタート。受付から5日ほどかかっていた工事が10分程度で終わるようになったことで、お客さまはコミュニケーション環境の最適化をすぐに実現できるようになりました。
付加機能の変更申込(即時開通)のWeb画面
CXの観点から先行リリースを提案
一方、即時開通できない工事に関しては、これまで通りオペレーターが申込内容を確認して工事日を調整するといった個別の運用が続けられることとなりました。その後、この手続きもWeb申込ができるようになりますが、この2つのアップデートの間にタイムラグが生まれた裏側には、CXに関するこだわりがあったと、ビジネスポータルの開発を担当する加藤寛(マネージド&セキュリティサービス部)は語ります。
「当初は、即時開通できない変更申込も、即時開通できる変更申込と同時にWeb受付できるようにする計画でした。しかし、オペレーターとお客さまの間で交わされていたやりとりが複雑でシステム化の要件に落とし込むことが難しく、開発には時間を要することが判明しました。一方で、即時開通できる変更申込の手続きは要件が明確で、実現すれば納期短縮などお客さまにとってのメリットも大きいと考え、先行して開発を進めることを関係者に提案し、2段階で進めることにしました」(加藤)
変更申込から工事完了までの流れ
課題解決の取り組み②:Web受付拡大と操作性の追求
同時複数の変更をお客さま自身で申込できるよう重ねた改善
即時開通できない工事の受付でのお客さまとのやりとりは何がそんなに複雑だったのでしょうか。石田は次のように説明します。
「お客さまが思い描くコミュニケーション環境を実現するには、1つのオーダーで追加機能やオプションを複数組み合わせて、同じ日に開通させることが必要な場合が多くあります。もともとは、お客さまからいただく『こういう環境を実現したい』というご要望をメールで確認し、受付センターのオペレーターが、それを実現するために必要な機能やオプションの変更を見極め、お客さまと一緒に申込書をつくりあげていくようなオペレーションでした。
それをシステム化するとなると、お客さまにすべてを入力してもらう必要が出てきます。ともすれば、サービスのグレードダウンと感じられても不思議ではありません。そう感じさせないように申込画面を分かりやすくつくることや、お客さまが迷った時に画面上でサポートする仕組みが必要でした」(石田)
このように複雑かつ個別性の高いオペレーションを要件に落とし込み、システム化するまでに2年近くを要したと加藤は振り返ります。
「受付センターのオペレーターと連携し、申込受付の現場で求められていることを細かくヒアリングし、少しずつ要件に落とし込んでいきました。申込画面の試作品を仮想ユーザーに操作してもらうテストを実施し、そこで上がった意見を取り入れながらお客さまにとって分かりやすい画面構成(UI)を実現するためのプロセスをくり返していきました」(加藤)
お客さまの利便性をさらに高める工夫
一方、申込受付を担当するオペレーターへの確認もくり返したと、加藤は続けます。
「システム化が受付センターの業務効率化にもつながるよう、オペレーターの意見も反映させていきました。彼らの負担が減れば、お客さまへの個別の対応に時間を充てられるようになり、サービス品質向上につながるという考えからです」(加藤)
複雑なオーダーをシステム化することで、お客さまの利便性を高めるとともに、オペレーターの負担も改善させる。この社内DXを兼ねた高度な開発と改善プロセスを経て、即時開通できる変更申込のWeb受付開始から1年3カ月後の2024年6月、同時複数の変更申込もWeb受付をスタートさせることができました。
初めてのお客さまでも直感的に操作できるUI
Web受付拡大へのお客さまの反応
お客さまは、これらの改善をどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。
「当初は、メールでの申込に慣れたお客さまからネガティブな声が聞かれることもありましたが、お客さまがWeb申込に慣れてからはそのような声もあがらなくなりました。最近はむしろ、Webで即時開通できる申込メニューを増やしてほしいという声も多くいただいています。今後はWeb申込により自動化できる工事をArcstar Smart PBXなど他のサービスにも拡張していきたいと考えています」(石田)
現在、約12,000社のお客さまにご利用いただいているArcstar IP Voice。お客さまのコミュニケーション環境を最適化するサービスを、もっと思いのままにご利用いただくために。ドコモビジネスではCX向上に向けて徹底的なお客さま目線でさらなる自動化に取り組んでいきます。
プラットフォームサービス本部
コミュニケーション&アプリケーションサービス部
石田 聡穀
「Arcstar IP Voice」のサービス企画を担当しています。お客さまのコミュニケーション環境の最適化のため、いつでもどこでもWebから簡単に変更できる機能の充実・拡大に取り組んでいます。
プラットフォームサービス本部
コミュニケーション&アプリケーションサービス部 主査
福原 慎平
「Arcstar IP Voice」のサービス企画を担当し、お客さまに驚きと感動をお届けするため、サービスとCXのデザインおよび改善に日々取り組んでいます。
プラットフォームサービス本部
マネージド&セキュリティサービス部 主査
加藤 寛
「ビジネスポータル」のシステム開発と運用を担当しています。ポータルを活用したデジタルタッチポイントにおけるCX最大化のため、新機能追加や改善に日々取り組んでいます。
NTTコム エンジニアリング
スマートオペレーションサービス部
中井 昌輝
「Arcstar IP Voice」の業務運用企画を担当しています。 円滑な運用プロセスを構築し、お客さまにより快適なCXを提供できるよう、日々改善に取り組んでいます。